民俗芸能に関する取り組み「白石踊」
(岡山県笠岡市)


 笠岡市は、岡山県の南西端に位置しており、西は広島県、南は海上で香川県と接しています。南部には笠岡諸島があり、瀬戸内海国立公園として多くの観光客が訪れています。
 笠岡諸島では、離島という環境のなかで、大切に育み伝承されてきた伝統行事がたくさん残っています。なかでも広く知られている民俗芸能が、白石踊です。
 白石踊は、笠岡市白石島(しらいしじま)に古くから伝わる盆踊り・回向(えこう)踊りで、国の重要無形民俗文化財に指定されています。この踊りは島の人たちの暮らしと密接に結びついており、白石島の文化を代表するものの一つとなっています。白石島は、現在人口約730人。風光明媚なことで知られており、夏には海水浴客で賑わいます。盆踊りとしての白石踊は、新暦の8月14日〜16日の夜に行われます。
 白石踊は、音頭取りと太鼓を中心にして、輪になって踊ります。最大の特徴は、一つの音頭に合わせて何種類もの踊りを踊る点です。現在伝わっているのは、男踊・女踊・娘踊・笠踊・奴踊・扇踊など、都合13種類の踊りです。それぞれ衣装や所作が異なった踊りが、一つのリズムに溶け込んで調和を生み出すさまは動的かつ華やかで、見るものを引き付けます。起源については、瀬戸内海で行われた源平水島合戦の戦死者の霊を弔うために始まったという伝承が、一般によく知られています。
 笠岡市は、観光行事として、また、文化財として白石踊を支援しています。島民により昭和3年に結成された白石踊り回向団は、昭和23年に白石踊会と名をかえ、踊りの伝承と後継者育成に努めています。白石島では、全島民が会員となっています。近年では島の過疎高齢化がすすみ、島に残る後継者が少なくなりつつありますが、地元では熱意をもって保存に取り組んでいます。白石小・中学校では、授業のなかに白石踊を取り入れ、踊会の指導のもとで練習しており、島民全員が白石踊を踊れるようになることを目指しています。
 白石踊には全国から出演依頼も多く、毎年県内外に出向いて踊っています。地元での取り組みとしては、まず、夏季の土曜日に、海水浴場で観光客を対象として踊りを披露しています。
 毎年お盆に開催される「島の盆&白石踊ツアー」は恒例の行事となり、毎年多数の参加者が来島します。このツアーでは白石踊の披露はもとより、お客さんにも参加を呼びかけて総踊りを行います。始めはぎこちない動きのお客さんも、次第に島民と一体となって盛り上がります。また、陸地部で白石踊体験講習会も行い、市内外の人に対して踊りの普及に努めています。
 白石踊会では、踊りの写真・資料の収集や記録の作成も行っており、ビデオ作品「白石踊」、音頭を収録したCDなどを作成し、好評を博しています。


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